鉄の枷 ミネット・ウォルターズ



鉄の枷 (創元推理文庫)

資産家の老婦人は血で濁った浴槽の中で死んでいた。睡眠薬を服用した上で手首を切るというのは、よくある自殺の手段である。だが、現場の異様な光景がその解釈に疑問を投げかけていた。野菊や刺草で飾られた禍々しい中世の拘束具が、死者の頭に被せられていたのだ。これは何を意味するのか? CWAゴールドダガー賞受賞作。

長編3作目で94年の作品。
ミネット・ウォルターズを読むのはこれで4冊目だけど、やはり読み出したらなかなか途中で本を置けない。これも読んでしまうのは早かった。
今まで読んだのは事件を追うほうが主人公だと思って読んでいたが、この作品の主人公は死んだ老婦人という感じ。章の合間にはさまれるのは老婦人の日記。事件を追うことになるのは刑事、老婦人のかかりつけの女医、女医の夫というとところで3人の視点と日記でだんだん老婦人のことがわかってくる。何故死んだの?=この老婦人とは?、ということなのだ。
登場人物は一癖も二癖もあるのでなかなか簡単にはいかなくて、ついついどんどん読んでしまう。プロットとキャラクターがしっかりとしているんだと思う。
今のところ最初に読んだ「蛇の形」が一番好きなのに変わりなし。
ミネット・ウォルターズは翻訳されているものはあと2冊になった。