昏い部屋 ミネット・ウォルターズ



昏(くら)い部屋 (創元推理文庫)

自殺を図り奇跡的に助かったらしい写真家の女性は、昏睡から目醒めたとき過去数日間の記憶をなくしていた。遠雷のように響く記憶の断片。やがて、絶望と恐怖に染めあげられた出来事が心のどこかから甦ってくる…。誇り高いヒロインの果敢な闘いを描き出すミステリの新女王驚嘆の第四長編。

長編4作目で95年の作品。
この本もやはり一気に読んでしまった。眠い。
どうしても次の章、次の章と読んでしまう。手放しに面白い!というわけでもない。なのにこうものせられてしまうとは…。こういう場合は、うまいなぁ、と一気に読める作品を素直に楽しんだと思うべき。
事実はいつでも1つなのだけど人によって解釈がずいぶんと違っているという内容で、読んでいる方はたいていはヒロインの視点を基準にしているけれど、時々他の登場人物に視点を置き換えたりという感じ。結末にわく疑問もなるほど、と思える。
でもやっぱり「蛇の形」のほうが面白かった。「昏い部屋」も「女彫刻家」も3人称で、「蛇の形」は1人称。それもあるかもしれない。
読み始めた時は「2+2」のことはすっかり忘れていたけど、この本にも最後の方の台詞に「2+2」があった。