翻訳夜話 柴田元幸・村上春樹



翻訳夜話 (文春新書)


「スモーク」を以前に録画してなかなか見られずにいた時、柴田元幸村上春樹の「翻訳夜話」という本が出たので読んだ。柴田元幸の翻訳ワークショップに村上春樹が参加したのがきっかけで生まれた本。
ポール・オースターの翻訳といえば柴田元幸で、レイモンド・カーヴァーの翻訳といえば村上春樹。この本のなかでポール・オースターレイモンド・カーヴァーの短編をこの2人がそれぞれ翻訳している。レイモンド・カーヴァーのほうはあまり好きではなかったけれどポール・オースターの「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は好きだった。短編の原文も載っていて、まず原文を読んで2人の翻訳を読んだ。長編だと原文読んで翻訳2種類読むなんてできないけど、短編なのでなんとか原文も読めてなかなかおもしろい体験だった。
映画「スモーク」は「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」がモチーフになっていてポール・オースターが脚本。「翻訳夜話」を読んだ事が「スモーク」を見るきっかけになって、「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は映像も見る事ができた。こういう体験はなかなかできないので「スモーク」は特別な映画になってしまったような感じ。ブルックリンの街角の煙草屋のオーギー・レンを演じるのはハーヴェイ・カイテルで、常連客の作家ポールを演じるのはウィリアム・ハート。「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は「スモーク」の中の最後のエピソードで、オーギーがポールにあるクリスマスの出来事をを聞かせるという内容で映像はほぼ2人の会話だったと思うけど、記憶では最後にその出来事が映像で再現されていて、ハーヴェイ・カイテルがなんだかがんばっていたなぁという印象。