デス博士の島その他の物語  ジーン・ウルフ

The Island of Doctor Death and Other Stories: And Other Stories

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

図書館に「ジェノサイドの丘」を返却に行って借りてきたのはジーン・ウルフの「デス博士の島その他の物語」。
あるかなぁ?と思って検索したら「利用可」となっていたので本棚に行ったら見あたらない。一足違いで誰かが借りたのかも、と思いながらカウンターできいてみた。「これは今日きたばかりですね」と言われ待っていたら持ってきてくれた。ということは最初に借りるってこと?図書館にはあまり行かないのでこういうのは初めて。これは読めってことでしょう。


ジーン・ウルフは日本においてもっとも過小評価されているSF作家とのこと。SFはあまり読まないので当然のように知らず、この中短編集が初めて読んだジーン・ウルフ
doctor、island、deathの組み合わせによるタイトルの連作短編の「デス博士の島その他の物語」、「アイランド博士の死」、「死の島の博士」と他に「アメリカの七夜」と「眼閃の奇蹟」の2編。まえがきには「島の博士の死」という短編も。
理解できるともできたとも思っていないけれど、固くなった頭に刺激を受けた感じ。限られた頭の中でいろんな方向、いろんな形(かなり歪かも)に広がっていくような感じ。読書って楽しい。
「デス博士の島その他の物語」は2人称で書かれていてちょっと驚く。
近未来の荒廃したアメリカを訪れたイラン人の青年が綴った日記という形の「アメリカの七夜」が特に印象に残った。いろんな仕掛けがあって実際に何が起きたのかわからないという構成。わからないわけだけど、どうにでもとれる。柳下毅一郎氏の解説を読むとウルフの読み方を学ぶには最適の入門作なのだそうだ。なるほど。
ファンタジーのような最後の「眼閃の奇蹟」が好きだったので読後感がよかったのもよかった。
返却したあとにまた読みたくなりそう。


http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Reading/fhc/