王者のゲーム ネルソン・デミル



 王者のゲーム(上) (講談社文庫)  王者のゲーム(下) (講談社文庫)


リビアのテロリストを護送中のパリ発のジェット機は着陸する2時間前に交信が途絶えたままニューヨークのJFK空港に着陸。救難サービス隊員が機内に乗り込んでみると乗員も乗客300人も死んでいた。リビアのテロリストは機内から脱出しアメリカ国内に潜入してしまった。


事件を追うのは「プラムアイランド」のあとにNYPDを辞め今は統合テロリスト対策特別機動隊(ATTF)に所属するジョン・コーリー。ATTFは架空の組織。ジョン・コーリーは「プラムアイランド」と同様にまたジョークを連発しているので、テロ事件の話でも「ニューヨーク大聖堂」のように重たくなくエンターテインメント小説になっている。
上下とも700ページを超えているので読むのに時間がかかったけれど、最後は一気に読んでしまった。


「王者のゲーム」のアメリカでの出版は2000年で日本では米同時多発テロのすぐあとの2001年の11月。
ニューヨークの場面では世界貿易センタービルも出てくる上に、コーリーがビルを眺め93年の爆破テロで危うくタワーが崩れるところだったと語る場面もあるので、どうしても飛行機が激突する映像が思い浮かんでしまう。今でさえそうなのだから、翻訳が出版されてすぐに読んだ人はどうだったのかしら?とも思ったり。
読み終えて、やはりテロは終わりそうにないという思いが頭のどこかに残っている感じ。