父親たちの星条旗 Flags of Our Fathers



Flags of Our Fathers


クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」。アメリカの視点から描いた第2次世界大戦の硫黄島の戦い。
日本の視点から描いた「硫黄島からの手紙」は来月公開予定。
製作はスティーヴン・スピルバーグクリント・イーストウッド。脚本は「クラッシュ Crash」のポール・ハギス
出演はライアン・フィリップ(最近リース・ウィザースプーンと破局)、バリー・ペッパー(「プライベート・ライアン Saving Private Ryan」)、アダム・ビーチ(「ウィンドトーカーズ Windtalkers」)、ジェイミー・ベル(「リトル・ダンサー Billy Elliot」)といったところ。


硫黄島の戦いで米軍の第一目標は摺鉢山の占領。米軍が占領した摺鉢山には星条旗は2回掲げられた。報道され戦局を変えることになった有名な写真は、あの旗じゃなくてこっちの旗をかかげろという軍のお偉いさんの命令で2回目に星条旗を掲げる6人の兵士の写真。6人のうち3人は戦死、残る3人(衛生下士官・インディアンの兵士・伝令兵)は英雄として帰国することになる。映画は大勢の戦友を失った苛酷な戦場から一転して英雄扱いされとまどい、帰国したものの家にも帰れず戦費調達のため国債の宣伝マンとして利用され翻弄された3人の兵士を通して描かれる。


英雄とされた寡黙な衛生下士官を演じたライアン・フィリップが思っていたよりよかった。そういえば「クラッシュ」にも出ていたと思い出したり。印象に残ったのはちょっと調子の外れた兵士のジェイミー・ベル、部下から慕われる軍曹のバリー・ペッパー
硫黄島への上陸シーンや戦闘シーンはどうしても「プライベート・ライアン」とダブってしまった。「プライベート・ライアン」で狙撃兵を演じたバリー・ペッパーが出ていたこともあるし。役柄でいうとバリー・ペッパートム・ハンクスとちょっとダブってしまった。
ストーリーも映像も楽しいものではないし、最初のほうは誰が誰なんだかよくわからなくて困ったけれど、よく出来てると思う。エンドロールのあとの「硫黄島からの手紙」の予告編までしっかり観てしまった。
硫黄島で惨殺された戦友の遺体を見つけ、別の兵士が「ひどいことしやがる」とかなんとか言って立ち去ったあともライアン・フィリップが動けず立ちすくむシーンがあって、映画では遺体は映らずライアン・フィリップもそのこと誰にも何も語らない。いったいあの兵士がどんな殺され方をしてしまったのかと観ているこちらは見えない遺体を想像しては追い払う。映像で見せられるよりこちらのほうがこわい。